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民泊新法施行後の民泊投資について考えてみた

民泊新法(住宅宿泊事業法)の施行に伴い、
民泊についての話題が盛り上がってきつつあります。
ここで、現在の民泊の形式について簡単に振り返ってみましょう。

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1. 一般的な民泊

 マンションやアパートの一室、あるいは自宅の一室などを
 旅行者に貸し出すものです。
 現時点では、特にエリアや営業日数の制限などはないですが、
 民泊新法の制定に伴い、届け出制となり、
 年間180日以内という営業日数制限が課されるようになります。

2. 特区民泊

 国家戦略特区のうち、旅館業法の規制緩和が盛り込まれたエリアで
 民泊条例を制定した自治体の特定の地域において運営可能です。
 部屋のタイプは貸し切りタイプのみです。
 宿泊日数は最低2泊3日からですが、営業日数制限はありません。
 現在は、東京都大田区、大阪市、大阪府の一部を除く全域、
 北九州市にて運用が開始されています。

3. 簡易宿所

 旅館業法に定められた宿泊施設の一形態です。
 宿泊する施設に宿泊客が共用で使用する設備が備え付けられています。
 たとえば、山小屋や、ゲストハウス、カプセルホテルなどがこれにあてはまります。
 また、2016年に旅館業法が改正され、
 最低面積が33m2以上から、収容人数×3.3m2以上、
 それまで義務付けられていた、帳場(フロント)の設置が
 収容人数10名未満の場合は不要となっており、
ワンルームマンションでの開業なども可能になっています。
(自治体によっては条例で帳場の設置を義務付けているところもあります)

民泊新法制定後の民泊の展開は?

民泊新法の制定に伴い、
一般的な民泊には以下のような規制がかかるようになりました。

・民泊運営者は 都道府県知事等に届け出が必要
・営業日数は年間180日まで
・貸し切りタイプの場合は一部を除き、代行業者の利用が必須
・集客はホスト自身、あるいは、民泊仲介業者、旅行業者経由のみ
・代行業者、民泊仲介業者は民泊新法の許認可を受けた業者でないと罰則
 (50万円以下の罰金)
・民泊物件には民泊運営をしていることが分かる表札の設置が必須

などなど

詳細は観光庁のサイトをご確認下さい。

罰則等の詳細はこちらにまとめています。

このように、現状とは大きく異なり、かなり規制が厳しくなります。
特に、180日ルールでは収益を上げることが難しくなるのでは、という懸念があり、
これを嫌気して、民泊をクローズするホストの話もちらほら出ています。

しかし、このような状況とは裏腹に、
2016年の訪日外国人数は過去最高の2400万人を超え、

2017年1月の訪日外国人数も史上2位の229万人を記録しています。

また、政府も2020年に訪日外国人数4000万人を目標に掲げており、
こちらの目標を達成した場合には、年間で5万室の宿泊施設の不足が生じる、と
観光庁長官が2017年3月3日の衆院国土交通委員会で述べています。
(参考記事:朝日新聞)

このように現在も、そして、将来においても
高い宿泊ニーズがあると予測されるのに、
民泊新法でそのニーズを取り込みにくくなってしまうのは
ちょっともったいないですよね。

民泊新法施行後は特区民泊?
それとも簡易宿所が来る?

そう考えると、
180日ルールの適用範囲外である、特区民泊、あるいは簡易宿所
これから民泊をはじめる上で視野に入ってくるのではないでしょうか。

特に簡易宿所ならば、条件さえ満たせば、
全国どこでも開業可能です。

そのため、2017年3月現在、開業可能な地域は
大田区、大阪府、大阪市、北九州市に限られている
特区民泊よりもはじめやすいといえます。

たとえば、外国人観光客が多い京都市では、
民泊に対して厳しい姿勢を表明していますが、
宿泊施設には旅館業法における許認可の取得が必須、
という方針を表明しているので、

簡易宿所を取得してしまえば、
合法的に民泊を運営することができ、
外国人観光客の宿泊ニーズを取り込むことが出来ます。

他にも、イベントのたびに宿泊施設不足が問題になる福岡市では、
その対策の一環として、一定の条件を満たせば、
簡易宿所にフロントの設置は不要とする条例を制定しています。
(参考記事: 毎日新聞)

では、どこでも簡易宿所を開業したら儲かるんじゃない?

と思うかもしれませんが、色々と落とし穴があります。

簡易宿所は旅館業法の許認可が必要なため、
色々な条件を満たす必要があります。

たとえば、簡易宿所を開業可能なエリアは
都市計画法にて定められています。

具体的には以下の用途地域ならば、全国どこでも開業が可能です。

1:第一種住居地域(当該用途に供する部分が3000㎡以下)
2:第二種住居地域
3:準住居地域
4:近隣商業地域
5:商業地域
6:準工業地域

さらに、建築基準法により、
対象となる建物の床面積が100㎡以上の場合には、
建築確認申請による「用途変更」が必要になります。
ただ、元々その建物が旅館などの場合には、
建築確認申請による「用途変更」は必要ありません。

他にも消防法など関連法規を満たす必要があります。
加えて、各自治体が制定した条例を満たす必要もあるのです。

そのため、色々と確認すべき点が多く、
簡易宿所の開業を考えているのであれば、
その地域の自治体に事前に相談をすることが必須です。

これを怠ってしまうと、
許認可申請の際に条件不備で許可が下りない、
ということも十分にあり得ます。

簡易宿所をはじめたい、とお考えの場合、
物件の立地など、良く検証されることをお勧めします。

次回は簡易宿所の申請までの流れをご紹介したいと思います。

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