大手、民泊参入
最近、民泊への企業参入がよく報じられていますが、また一つ、大手不動産会社が参入するようです。18日付日経新聞で、大京穴吹不動産(以下大京)が今春をめどに民泊事業に参入することが報じられました。国家戦略特区(以下特区)として民泊を実施する東京都大田区を中心に、初年度に約100戸の空き家を買い取って改装し、宿泊先を提供する計画です。
第1弾として、大京は京急蒲田駅から徒歩10分の距離にある4LDKの2階建て住宅を購入しています。この住宅を4~5人が宿泊できるよう改装、キッチンでの自炊も可能としています。特区での民泊要件は一週間以上の滞在を条件としていますので、受け入れ対象は長期利用者ということになります。
今回参入を表明した大京はライオンズマンションを運営する大手不動産会社です。その大京が元々所有しているマンションではなく、新たに戸建住宅を購入して、民泊事業へ参入するというこのニュースからは、2つの意図を読み取ることができます。
一つ目は、企業として民泊が収益を生むと見込んでいること。
二つ目は、民泊を既存のマンションで実施することは住民トラブル等の観点から困難であると考えているということです。
既に取り上げているとおり、国土交通省はマンションでの民泊実施には管理規約の修正が必要という見解を示しています。加えて住友不動産や東急コミュニティーなど一部の不動産事業者は、民泊を禁止するためのマンション管理規約修正を支援するといった新事業を始めています。こういった動きを鑑みて、マンションではなく戸建住宅での実施に踏み切るものと見られます。
今回の大京の判断からは、やはり企業も「民泊にはマンションではなく一戸建てなど管理規約がない物件がより適している」と考えていることが分かります。また、今回大京が第1弾として運用する京急蒲田駅周辺は、品川経由での都心方面、羽田空港、横浜方面といった各所へのアクセスが良い駅です。
先日、大阪の民泊市場が盛り上がりを見せているという記事でも触れたとおり、多くのゲストに選ばれるのは駅から徒歩圏内、それも多方面へのアクセスが可能な駅周辺の物件です(参考)。これらの条件を満たせない物件では、他に際立った特長がない限り、採算性が低い傾向があります。今後は企業、個人を問わず「駅近の戸建て」といった良物件を確保する競争が激しくなるのは明らかです。早めに確保することが肝要といえます。
民泊を始めるにあたって採算性の低い物件をつかまされないためにも、専門家のサポートで物件のタイプや立地などを的確に見極め、早めに準備を始めると良いでしょう。
■参考情報
現時点(2016年1月26日)で民泊事業参入を表明している企業と参入形式は以下の通りです
企業名 | 参入形式 |
とまれる(株) | (株)エイブルと業務提携。 |
(株)アパマンショップ | 中期や短期契約による賃貸事業の実施。 |
(株)アドベンチャー | 専用ページを作成し、オーナーからの問い合わせ、利用者からの登録受付開始。 |
エクスベディア | Airbnbに次ぐネット仲介事業者、Homeawayの買収を発表。 |
京王電鉄(株) | 民泊サービス「STAY JAPAN」を展開する(株)百戦錬磨に10%出資。 |
(株)シノケングループ | (株)プロパストと連携し、民泊サービスや関連サービスを展開。 |
(株)Secual | 第三者割当増資で6000万円を調達。民泊等に向けた低価格セキュリティサービス実現へ活用。 |
(株)大京穴吹不動産 | 大田区で初年度に戸建て住宅を100戸購入し、民泊サービスを実施。 |
(株)スペースマーケット | 専用ページを作成し、オーナー、利用者双方の登録受付開始。 |
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