日本における民泊関連の新法の方針が発表され、
話題になっていた宿泊日数規制については180日以下の範囲で
地方自治体の条例等で個別に規定するという方向、
ということは既にお知らせしました。
参考:民泊サービス、住宅専用地域でも可能に!規制改革実施計画、閣議決定
参考:悲報!民泊の営業日数制限実施確定へ。制限なし運用は簡易宿所の申請が必須に。
それでは、海外では民泊ホストに対する規制はどうなっているのか、見てみましょう。
- 宿泊日数に関する規制等
- 許認可制に関する規制等
- 顧客管理に関する規制等
- ホストに関する規制等
宿泊日数に関する規制
宿泊日数に関する規制は、大きく2種類あります。
- 年間宿泊日数に関する規制
- 1回の宿泊日数に関する規制
1.は日本でも年間180日以下で自治体ごとに設定される方向ですし、
2.も東京都大田区などで特区法施行令により6泊7日以上と定められています。
1. 年間宿泊日数に関する規制
- 年間90泊以内の場合には自治体からの承認が不要:イギリス(ロンドン)
- 年間60泊以内:オランダ(アムステルダム)
- 年間3ヶ月以上:スペイン(マドリード)
- 180日を超える又貸しは禁止:アメリカ(サンノゼ)
2.1回の宿泊日数に関する規制
- 1宿泊者5日以上:スペイン(マドリード)
- 30日未満の短期滞在は違法:アメリカ(ニューヨーク)
年間180日どころではなく、60日以下の国もある一方で、
1回30日未満は違法という規制も存在し、国・都市によって考え方が大きく異なっています。
許認可に関する規制
- 年間90泊を超える場合は、建物の使用目的を変更する許可が必要:イギリス(ロンドン)
- 「観光用家具付住宅」として、住宅の所在する自治体に届けが必要。
居住者20万人以上の市の場合、利用形態変更許可が必要:フランス(パリ) - 事業に関する要件保有の宣誓書を提出する。宣誓内容は定期検査で確認:スペイン(マドリード)
- 地元自治体の許可が必要:スペイン(バルセロナ)
- 自治体への届出と承認が必要:イタリア(ローマ)
- 住居として登録している空間を居住目的以外で使用する場合は、
地区の管轄官庁に届出し、許認可が必要:ドイル(ベルリン) - 許認可が必要:ドイツ(ハンブルク)
- パーティー利用のための短期貸借を禁止:オーストラリア(クイーンズランド州)
- 開始前に市からの許可(2年毎の更新)が必要:アメリカ(ポートランド)
- 毎年市からの許可が必要:アメリカ(ナッシュビル)
- 短期賃貸物件として市に届出、市からの事業許可が必要:アメリカ(サンフランシスコ、サンノゼ)
- 自治体の長の指定が必要:韓国
多くの国では、何らかの許認可は必要とされているようです。
国で統一のルールではなく、州や市などの自治体レベルでそれぞれに許認可制度が規定されているパターンが多く見られます。
顧客管理に関する規制
- 外国人を宿泊させる場合は、到着時に氏名、連絡先等を登録させるとともに、6ヶ月間の保存が必要:フランス(パリ)
- ゲストの身分証の登録と警察への情報提供が義務:スペイン(バルセロナ)
- ゲスト情報の記録と保管が義務:アメリカ(ポートランド)
顧客名簿の保管等、顧客管理に関する規制を設けている国・市はそれほど多くありませんでした。
逆に、ホストに対し、ゲストへのサービス保証や部屋の清掃などを義務付けている国・市も存在します。
ホストに関する規制
- ホストが年間8ヶ月以上居住している場合は届出等の必要なし:フランス(パリ)
- 物件の所有者による直接の貸出:スペイン(マドリード)
- 又貸しの場合は住居の所有者からの事前の同意が必要:オランダ(アムステルダム)
- 大家の事前同意なしに賃借中の家屋を譲渡・又貸しできない。
又貸し料金として大家に支払う家賃以上の金額を請求できない:カナダ(トロント) - ホストは年間270日以上当該居住施設に居住しなければならない:アメリカ(ポートランド)
- 又貸しの場合で、ホストが市外に出る場合は連絡先登録が必要:アメリカ(サンフランシスコ、サンノゼ)
家主居住型の物件の場合は許認可等に関する条件が比較的緩く、
家主不在型の場合は、ハードルが高くなるのが一般的です。
まとめ
- 民泊に関する規制等は、国・都市の法制度や民泊ビジネスの実態から規定され、
その内容には大きなばらつきが見られる - 家主居住型の物件は諸条件が比較的ゆるくなる傾向
民泊に関する法律の制定・改正では世界の流れから大分遅れている日本ですが、
各自治体で決めるとされる宿泊日数制限は果たしてどのように設定されるのか、
他の点についても着地点の動向について見守る必要があります。
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