フランスでは今、アパートなどの所有者がより利益の上がる民泊営業に物件を回したため、パリ市内の家賃相場が数年で急上昇しているという。
さらには民泊物件へ回すために賃貸契約の約25%が契約更新されず、既存住人は住居を失い高額な物件を探してやむなく賃貸し直すか、郊外へと引っ越すという話もあるようだ。
住民は、民泊によって住んでいる家を失い、より高い物件を借りたり、賃貸更新時に値上げに応じなければならなくなってしまった。
その高額な家賃を払うために自分達が使用する部屋数を節約して減らし、空けた数部屋を利用しまた民泊で稼がなければならないという悪循環なケースもあるという。
また、観光客が多い地域では、住民が減り学級閉鎖に陥る学校も出ているとか、1日に1軒のホテルが廃業か倒産に追い込まれているとか、フランスで民泊による悪影響の話題は事欠かない。
世界一の観光立国であるフランスのこの状況は、何が原因だったのだろうか。
全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の招聘により、フランスのホテル&レストラン関連業界団体を招き「基調講演 テーマ:民泊の不都合な真実 ~世界最大の観光大国フランスで起こっていること」と題した緊急フォーラムが都内で開催された。
そこで年間約8000万人のインバウンドがやってくるという民泊先進国であるフランスからも宿泊業界団体代表らが訪れ、民泊の改善すべき点として
「Airbnbの匿名性を徹底的に潰しておくこと。この匿名性があったためにフランスはあれよという間に現状の様な状態になってしまった」
という意見が出された。
匿名性であることの弊害は例えば、全く遵守されていないという年間の民泊営業数(120日)が圧倒的な民泊の数と匿名性によって厳密な捜査ができていないという。不必要に民泊施設が増えてさらには規制も守られなければ賃貸物件の家賃高騰もまた抑えることはできないだろう。
日本も政府が民泊に対する規制を緩和すると、東京や京都もパリのように家賃が高くなるだろうか。
いや、「緩和」と、匿名性を野放しにする事とは違うはずだ。
フランスにやってくるインバウンドは年間約8,000万人。日本へは今のところ約2,000万人。そして物件不足で低い水準で横ばいのフランスの空家率(6.6%前後)に比べ、日本の空家率(15%前後)は高い水準で増え続け、東京だけでも80万戸強、そして日本全体では820万戸の空き家がある。さらに日本では借地借家法もあり、大家と借主の双方の合意がなければ家賃の値上げや退去を行うことはできない。
だから、フランスのように民泊起因で家賃高騰や物件不足が生じるとは考えにくい。
むしろ、これら空家の有効活用は地域の活性化につながるだろう。そして徹底した法整備で日本の民泊運営は健全に伸びていくことができる。
幸い、民泊先進国と言われる諸外国の事例はたくさんある。
民泊全解禁に向けた原案が整った今、柔軟でかつきめ細やかな法整備に期待したい。
そして私たちは何が合法で何が違法かを見きわめ、また、長期的な視点で情報の収集を怠らないことが民泊運営には大切だろう。
当シェアリングエコノミー普及協会では、個別コンサルティングも承っております。
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