民泊に適した寝具の素材について、前回は天然繊維を取り上げました。
今回は化学繊維について見ていきたいと思います。
そもそも化学繊維って何?
化学繊維とは、人間が人工的に化学的な方法を用いて作り出した繊維の総称です。
(日本化学繊維協会『よくわかる化学せんい』より)
主な種類としては、ナイロンやポリエステル、レーヨン、アクリルなどがあります。
ここでは寝具によく使われている、ポリエステルやアクリルについて取り上げます。
化学繊維のメリット・デメリットは?
化学繊維全体のメリット・デメリットについてまとめてみました。
なお、判定は前回と同じく、下記のようになっています。
◎…… 正にベスト寝具、おススメ!
○…… ベター寝具
△…… 注釈あり、もしくはあまりお勧めできない
×…… 買うのはやめておきましょう
-…… 使用されている商品がない、データなしなど
化学繊維のメリットは?
・安価
・軽い
・乾きやすい
・防ダニや消臭加工ができるので清潔
・クッション性が良くヘタりにくい
・綿ぼこりが発生しにくい
・ぜんそくやアレルギーのあるゲストには無難な素材
化学繊維のメリットは大きくまとめると上記の7つになります。
防ダニ加工や消臭加工ができ、綿ぼこりが発生しにくく、ヘタりにくい、
という点はこまめに状況を確認できない民泊に向いているといえますね。
また、コストが安いという点も汚れたら簡単に買い替えることもできるので、
民泊運営においてメリットといえるでしょう。
では、そんな化学繊維のデメリットとは何でしょうか?
化学繊維のデメリットは?
・吸放湿性はほとんどない
・静電気が発生しやすく、ハウスダストを引き寄せることも
・毛玉ができやすい
化学繊維のデメリットですが、上記のようなものになります。
吸放湿性がほとんどないため、夏場などは不適当かもしれません。
寝苦しさに目覚めたら、布団に汗がべっとり・・・、とかなってしまったら、
自宅ならまだしも、お金を払って宿泊しているのであれば、
ちょっと何とかならないかな、と思ってしまいますよね。
また、静電気が発生しやすいため、
布団にハウスダストがくっつきやすいということも。
あわせて、毛玉もできやすいので、清掃の際には注意するようにしましょう。
ゲストはベッド周りが清潔であるかどうか
厳しくチェックしていることが多いので、
布団に付着するほこりや毛玉は要注意です。
さて、そんな化学繊維ですが、個別の素材ごとの特徴はどうでしょうか。
安価でメンテもラクラクな
寝具のメジャー素材・ポリエステル
★素材の特性
保温性 ○
吸湿性 △
放湿性 △
耐久性 △
お手入れ ◎
寝具に使われる化学繊維の代表格です。
布団の中綿として多く使われているほか、
最近よく出回っているマイクロファイバー毛布やフリースもポリエステル製です。
ポリエステルをはじめとした化学繊維には、ほとんど吸放湿性がありません。
しかしポリエステルが中綿の布団は、
綿状の繊維の間から湿気を放出することができ、蒸れにくいとされています。
さらに繊維が丈夫でヘタりにくく、保温性も良いという特徴があります。
お手入れは週1回天日干しをすればOK。
家庭用洗濯機で洗えるウォッシャブルタイプの製品も多く、
汚損に強いところも嬉しいポイントです。
ポリエステル布団の寿命は3年程度と長くはありませんが、
安価なものが多いため買い替えやすいアイテムです。
「定期的に寝具をリセットして、清潔と寝心地を保ちたい」
というホストの方には、とても適していると言えます。
中綿としては、自然素材にも引けを取らない機能を備えているポリエステル。
ですが、やはり万能というわけではありません。
ポリエステルは、「繊維が丈夫であるがゆえ毛玉になりやすい」という性質があります。
自然の繊維でも摩擦があれば毛玉は発生するのですが、
ポリエステルほどの頑丈さはありません。
例えば毛玉ができやすい羊毛であっても、ある程度は自然に脱落してくれます。
しかしポリエステルでは繊維が丈夫なので、
脱落せずに本体にくっついたままということになってしまうのです。
この性質は、寝具の中でも特に大きな摩擦にさらされる敷シーツにとって、
かなりマイナスに働きます。
毛玉ができやすいアイテム、しかも自然には取れない素材という
正に最悪の組み合わせで、
どんどん見た目はみすぼらしく、肌触りもザラザラになっていきます。
「リネン類は宿泊人数×3は必要」
とされていますから、
敷シーツがダメになったばかりに
総取っかえなんてことになれば大きな痛手ですよね。
ポリエステル製品はその安さが大きな魅力ではありますが、
敷シーツだけは「安物買いの銭失い」となる危険性が高いと言わざるを得ません。
十分に注意しましょう。
★ポリエステルのおススメ用途は?
敷具 ◎
掛具 ○
リネン類 △(敷シーツだけは×)
温かくて耐久性抜群!
アクリル
保温性 ◎
吸湿性 ×
放湿性 ×
耐久性 ◎
お手入れ ○
ポリエステルの次に寝具に多用されている化学繊維がアクリルです。
安価で保温性も良く、ウォッシャブルタイプなら家庭で洗うことができる、
というのはポリエステルと一緒です。
ポリエステルとの大きな違いとしては、
・元々羊毛を模して造られた繊維であるため手触りが良い
・軽い
・アクリル毛布は寿命が10年以上と、非常に長持ち
といった点が挙げられます。
この特徴を活かし、毛布や秋冬用敷きパッドなど
温かさを補強するための寝具に使われることの多い素材です。
これはポリエステルにも言えることなのですが、
化学繊維であるため吸放湿性はほとんどありません。
そのためアクリル毛布を使っていて布団内の気温が上がると、
蒸し暑くなったり、その際に出た汗が冷えてしまうといった不具合が生じてしまいます。
しかし安価で肌触りも良く、しかもお手入れ簡単で長持ちとなると、
民泊的には非常に魅力的なアイテムであるのは確かです。
使用するのであれば、羊毛や羽毛といった
自然素材で吸放湿性の良いものとの併用がお勧めです。
★アクリルのおススメ用途は?
敷具 △
掛具 △
リネン類 -
以上、2回にわたって、民泊に適した寝具について素材の観点からまとめてみました。
それぞれの素材の特性を生かして、
快適な寝室環境を構築するための参考として頂けましたら幸いです。
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