「 民泊 」という言葉の意味は「民家に泊まること」と大きくまとめることができます。
その場合、大きく二つの形があります。
1つは農林水産業の体験を目的として現地の民家に宿泊する場合と、もう1つは単純に宿泊することを目的にして民家に滞在する場合です。
前者は、農山漁村余暇法や旅館業法の改正によって、農林漁業者が直接営む場合について、客室面積の要件(33平方メートル以上)が緩和されるなど、法的な整備が整っています。また、農林水産業の体験を目的とした宿泊施設を農林漁業者以外が営む場合は、旅館業法に基づく客室面積の要件を満たす必要がありましたが、平成27年6月30日の閣議決定で、この要件が緩和されることがほぼ決まっています。このように農林水産業の体験を目的とした民泊は、法に裏付けられて運営する環境がほとんど整っていると言えます。
後者の単純に宿泊を目的にした民泊ですが、昨今の外国人旅行者の増加や2020年の東京オリンピックを控えた宿泊需要の増加傾向から、新たなビジネスとして注目されています。宿泊する部屋を提供する側と利用者の仲介を行うサイトもあり、その代表としてairbnb(エアビーアンドビー)があります。このように宿泊を目的にした民泊は広がりを見せています。
問題なのは、ビジネスとして民家や部屋に宿泊させる場合、旅館業法等関連法に抵触する面があることです。泊める本人が所有もしくは居住している物件であっても、誰かを泊めて宿泊料の支払いを受けることが常態化していれば、旅館業法等の適用を受ける可能性が大きくなります。また、近隣住民や地域に馴染みのない利用者が滞在していることによるトラブルや事故のリスクもあります。それでも収益を上げているケースがあるのは、民泊の実態を正確につかみ切れていないのと、どこまでがビジネスと言えるのか、その範囲が定まっていない現状によるものです。加えて今の段階でも宿泊施設の不足が見られる状況で、民泊を全て抑え込もうとするのは得策ではないという要素もあります。
しかし、法的に曖昧な状況で、宿泊を目的にした民泊が広がることは、既存の宿泊業者との兼ね合いや安全面からも好ましいとは言えません。そこで法整備を整える動きが広がっています。
例えば、東京都大田区や大阪府では条例を制定し、条件を満たすことで民泊を可能にしているケースがあります。とはいえ、経済特区としてのモデルケース的な面もあり、今後の枠組みがどのような形になるかはっきりしない面もあります。
いずれにせよ単純な宿泊目的の民泊は、法整備の動向などを見極めながら行っていく必要があります。
そうした内容も随時まとめて掲載していきます。
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